2012年4月28日土曜日

「素振り」出来てますか?


 どんな強打者でも初めは「素振り」から始まるんだなぁ~


最近、ある事情で「仕事の基礎」の見直しを迫られ、
ふと、元ヤンキース松井秀喜選手のことを思い出しました。


今から5年以上前、僕はイギリスに留学してデザインの勉強をしていました。
シェフィールドというイギリス中部の都市には、日本人は殆どおらず、
クラス40人の内、日本人はおろか留学生は自分だけという環境でした。
言葉のハンディがある分、現地学生の2倍働いて良い成績を取ろうと必死だった頃、
同じように海外に一人で乗り込み、メジャーリーグという厳しい環境下で、
結果を出す松井選手の活躍は、当時の自分にはとても心強く、勝手に励まされていました。

特に、松井選手の著書「不動心」の一節は、その当時、強く心に残りました。
それは、松井選手が毎日、自室での「素振り」を続けているというコトでした。
結果が出た時も、出ない時も、ひらすら毎日続けているそうです。
あれだけ活躍している松井選手が、これだけの努力を続けているのだから、
自分ももっと頑張らないとな~と思ったのを思い出します。


ここで本題に戻りますが、野球選手の基礎練習が「素振り」だとしたら、
自分の仕事における「素振り」とは何でしょうか?
そして、その「素振り」が出来ているでしょうか?
 
デザイナーの「素振り」とは・・・ 
○モノを観るコト・使うコト
○アイデアを考えスケッチするコト
○伝え方を考えるコト
○素材を知るコト
○製造方法を知るコト
○過去のデザインを知るコト
 
などだと思います。
改めて振り返ってみると、出来ているコト、出来ていないコトがありますね。
今回、あまり「素振り」が出来ていないコトに関して依頼があり、
松井選手の「素振り」の話を思い出したといういうわけです。


 
心が変われば行動が変わる。

行動が変われば習慣が変わる。

習慣が変われば人格が変わる。

人格が変われば運命が変わる。
  

ご存知の方が多いと思いますが、これは、松井選手を支え続けている恩師からの言葉です。
ヤンキースでMVPに輝いた松井選手の活躍が「運命」だとしたら、
「素振り」 という習慣の積み重ねがあったからだと思います。

 
あなたの仕事の「素振り」 とは何ですか?
そして、その「素振り」を出来ていますか? 


「心変わり」しないうちに、早速行動に移したいと思う、今日このごろです。






2012年4月2日月曜日

カレーの切り口 !?

 
ギネスビールで煮込んだ Irish Curry中津店のポークカレー。
角煮のようなトロトロ豚肉とオニオンフライが美味い!!


カレーに釣られて来た皆さん、ごめんなさい。
今回は、カレーそのものの話ではなく、カレーの売り方にヒントを得た、
経営視点・デザイン視点の「コンセプト」と「切り口」のお話です。



最近、経営者とお会いする機会が多いのですが、ことごとくカレー好きが多い。
どこの打合せに行っても、必ずと言って良いほど、毎回カレーをご馳走になります(笑)
学生時代、一週間毎日カレーor餃子という生活をしていた僕にとっては、大歓迎なのですが。

先日は、大阪・中津にあるアイリッシュカレーをご馳走になりました。
お店自体はイギリスのパブを意識した造りで、古木のカウンターにギネスのビールサーバー、
店内の看板には古いイギリスフォントを使い、おまけにプレミアムリーグを放送してました。
イギリスに4年住んでいた僕が、懐かしく思える程なので、雰囲気作りの上手い店でした。
そして、看番商品のアイリッシュカレーは、 イギリスのギネスビールで煮込んであり、
上にトロットロの煮豚が乗っている、大変美味しいカレーでした。(上記写真参照)

カレー談義に花を咲かせながら興味を持ったのは、東京にある「1日の野菜を摂れるカレー」の話。
「1日の野菜を摂れる」という「切り口」にとても感心したので、食べてみたいなと思ったのですが、

 その後に続く話で、食べたいという気持ちは微妙になりました。
 
なんでもそのお店は「キャンプ」というコンセプトの元、
小さなフライパンにカレーを盛り、テーブルには水筒が置いてあるそうです。
そのコンセプトが受けてなのか、お店はそこそこ繁盛しているみたいです。
そして、出されるカレーは「1日の野菜を摂れるカレー」。

なんで?

僕の中では、「キャンプ」というコンセプトと「1日の野菜が摂れる」という切り口が繋がりません。
「キャンプ」というコンセプトであれば、もっと「母親が作ったカレー」的な切り口が良いだろうし、
「美容やダイエット」というコンセプトであれば 「1日の野菜を摂れるカレー」は納得できます。

カレーが美味しければ「コンセプト」も「切り口」も要らない、という意見もあると思いますが、
例えば、チェーン店で唐突にアイリッシュカレーを出されても関連性が分かりません。
逆に言うと、丁寧に「コンセプト」と「切り口」を揃え続けているお店やモノが、
ブランドになるのではないかなと思います。




今回デザイナーの僕が、カレーの「コンセプト」と「切り口」について語っているのは、カレー業界における競争の激しさが、価格競争に巻き込まれるモノ作り中小企業の状況に似ていると思ったからです。
料理を作れない女子の得意料理といえばカレーだし、
誰が作ってもそんなに不味くならない。(技術的な差をつけにくい)。
そして、価格の差を付けにくい(高くても2000円程度!?)。
そこで必要になってくるのが、「切り口」という、
消費者にとって「このカレーは他と違うんだぞ」という、見せ方だと思うのです。

例えば、普通の「ビーフカレー」より、「シェフの特性和牛カレー
という「切り口」の方が、美味しそうに聞こえますし、高く売れそうです。 

そしてその「切り口」とは、消費者視点の内容が良いと思います。
例えば、味以外の切り口を提案するとすれば、カレー好きが多い中高年が気にするであろう、
健康やダイエットなどが良いのではないかと思います。
カレーで例えるなら、「一日の野菜を摂れるカレー」「16種類のスパイスで代謝を良くするカレー」という具合でしょうか。消費者は、作り手の技術的視点の「切り口」ではなく、そのカレーが自分たちにとってどんなメリットがあるか?という「切り口」を求めているのだと思います。

更に、「切り口」とその背景であるコンセプトと繋がれば、より一層の説得力を持てると思います。
「一日の野菜を摂れるカレー」であれば、これ見よがしに泥付き野菜を展示したり、
「16種類のスパイス~」であれば、店内にスパイスを入れた小瓶を飾ったりするべきだと思います。
カレー屋なんで、カレーが美味しいのは当たり前で、後はいかにお客さんを説得するかだと思うんです。



こう考えると、今販売数が伸び悩んでいる商品でも、消費者が選択しやすい「切り口」を提示できれば、まだまだ売れるのではないかと思います。
デザインにおける「切り口」とは、「消費者に見せる情報の取捨選択」と「消費者に分かりやすい特徴付け(誇張)」だと思います。そして、その商品の核となるコンセプトを見つけ、「切り口」として魅せられるモノに仕上げるのがデザイナーの腕の見せ所であり、1番大変な部分だと思います。


と、ここまで何だか偉そうに書いてきましたが、僕自身デザイナーとしての「コンセプト」と「切り口」に悩む日々なので、あまり説得力はないですね(笑)早く「切り口」見つけたいな。