2011年9月22日木曜日

バターナイフを手作りしてみた

少し時間があるので、作りためたモノを放出します。
今回は本業のデザインの話です。

「一生活者としても、一デザイナーとしても納得のいくデザイン」

僕は、これを、理想のデザインとして掲げ、日々活動しています。
某デザイン事務所で働いていた時に、デザイナーが提案する「奇抜だけど自分では使わないデザイン」と、クライアントが求める「何か新しくて刺激的なデザイン」、そして、自分が一生活者として「使いたい」と思うデザインにブレがあり、それを疑問に思いながらデザイナーとしての仕事をしなければならないことに辟易していました。

「自分が実生活で使えるモノをクライアントや家族、友人に届けたい」

これを実現するには、自分でデザインし、作ったモノを実生活の中で使い、生活者視点でデザインの善し悪しを判断するしかないと思うのです。そうして実生活の中で見つけた粗を修正して初めて、頭で考えただけのデザインや、モックのみで検討したデザインとは異なる、真に顧客価値のあるデザインが出来るのではないかと思っています。
という事で、今回はこの理想を実践するために、思い立ったが深夜、バターナイフを作ってみました。
その作業工程を追って、ご紹介したいと思います。



コーナンで買ってきたヒノキ板を適当なサイズに切り、表面にスケッチします。
ヒノキ材にした理由は、水に強く、かつ削りやすい硬さだからです。
デザインは、前からこんなんいいかも、と書きためてたモノ。

一つ一つのデザインを切り離す作業に一苦労。
電ノコで10秒で済む作業に手ノコで30分以上費やしました(汗)

 切り離したデザインをクラフトナイフで削ります。

ある程度削れたら、天面にもスケッチを。

 シュ、シュ、シュ、シュ・・・
開始から約2時間でここまで・・・

シュ、シュ、シュ、シュ・・・
クラフトナイフを握る手が痛くなってきた。

 シュ、シュ、シュ、シュ・・・3時間経過。
ここまでくれば、もう少し。 


そして・・・


粗めのやすり、細かいやすりをかけ、最後にオリーブオイルを塗って完成。

作業開始から終了まで4時間程、かかってしまいました(大汗)

早速、バターを切って・・・

パンに塗ってみました。
グリップが太く、手の平につっかえる感じ・・・
やはり頭で考えただけのデザインはダメですね。


プロダクトデザイナーは通常スケッチでデザインを練るもんですが、今回は、デザインを練らず、「手で考える」という手法で作ってみましたが、いやいや、難しいですね。
頭で描いた使い勝手と実際の使い勝手には、かなりの乖離がありました。

また、制作工程にも省ける無駄がかなりありました。
まず、グリップが分厚く、材料に無駄が多い(木から削ると削る部分が多すぎる)。
一枚板に近いカタチでグリップを高めたほうがコスト安です。
また、このデザインであれば、Rを細かくとれ、型で作れる金属の方が向いていますね。
最後に、手作業は時間がかかりすぎるので、仕上げ前まで機械を取り込めれば、20分程度で1品作れると思います。 
安く作れることが、より多くの人に、適正な価格でデザインを届ける方法ですからね。

ということで、完成まで、何か月かかるか分かりませんが、現在、バターナイフ第2弾作成中です。
(バターナイフばっかり作って、どうなるんだ?と突っ込まれそうですが・・・)
気持ちとしては、やはり生活の中でじっくり検証したモノを発表していきたいと思いますので、理想を実践する場として、自社ブランドの構想も練っています。



おまけ。部屋、こんなんなりましたorz 嫁に怒られる。
木屑を掃除機で吸い込むと、掃除機パンッパンになりました。
どなたか、大阪市内で自由に使える作業場知りませんか?



おしまい。


2011年9月19日月曜日

失敗学

 世界一有名な失敗、タコマ橋の崩落



この世には、3通りの人間しかいない・・・

「失敗から学ぶ者」
「失敗から学ばない者」
「失敗する度胸すらない者」
 
ざわざわ・・・
by福本 伸行(知らん人はスルーして下さい。)


今回は、最近興味を持っている「失敗学」についてのお話です。
海外留学から帰ってすぐのこと、本屋に行って、その自己啓発本多さに驚いた覚えがあります。
いかにも勤勉な日本人らしい光景なのですが、書店に並ぶのは、成功者のサクセスストーリーから学ぶ本ばかり。
最近、ある事に気付きました。

「失敗」から学ぶ本が殆ど無いのです。

こうして「失敗」について考え出すと、失敗しない日など無いに等しいのではないかと思うようになりました。
朝寝坊したり、遅刻したりする小さな失敗から、プロジェクトが上手くいかない、会社が潰れるなどの大きな失敗まで。
天才と呼ばれるイチロー選手だって、7割は失敗しています。
なのに「失敗」に関する本は、成功本ほど注目されていないのです。
こんなに身近な「失敗」なのに、お付き合いの仕方を知らず、ただ怖がっているのはおかしいのではないか?



こうして、「失敗」について興味を持ち、調べてみると、「失敗」について書いてある本を数冊見つけました。

タイトルからしてインパクト大。ITベンチャー企業「ハイパーネット」の社長、板倉氏みずから、成功から失敗に至るまでの過程を事細かに記している。
企業から、事業拡大、融資話や仲間の裏切りなど、社会のしくみが凝縮されているように思う。
特に、銀行の貸し渋りから、一気に会社が傾くまでの臨場感は凄まじいものがある。
読み物としても面白いのでおススメ!!

本書によると、失敗は、未知との遭遇による「良い失敗」と、人間の怠慢による「悪い失敗」の2種類に分けられる。不可避であ る「良い失敗」から物事の新しい側面を発見し、仮想失敗体験をすることで「悪い失敗」を最小限に抑えることが重要である、と筆者は説いている。
ま た、過去の豊富な例から学ぶことで失敗の本質を多角的に検証する方法や、時間がたつと形骸化してしまう失敗例を効果的に伝承する方法についても言及してい る。さらに、マニュアル化した対応方法では前例のない事態が生じたときに対応できなくなるとして、とっさの判断力や創造力を養う失敗経験を教育に取り入れ ることを提唱する。本書は、親しみやすい入門書の形で我々に「失敗学」の重要性を伝えている。世界の失敗の歴史についても多く扱っているので、読み物としても楽しめる。(amazonより / 佐藤敏正)

なんだか、説明が面倒だったので、amazonの書評をまるまるChinaしてきたんですけど、スミマセン、間違いました、一部Koreaしてきました。要は、「失敗」という経験を、どのように「成長」へと繋げるか、という本です。
著者曰く、失敗は知識化することで、初めて皆と共有できるそうで、下記が、知識化フォーマットを元に作った私の失敗体験です。(非常に長いので、俺の辞書に失敗という文字はない、という方はスルーしてください。)

タイトル: 失敗体験のおおまかな中身を想像できるようなタイトル
「パソコンがバグって仕事のデータが飛んだ!!」

事象: どのようなことがあったのか
Windows7の立ち上げが不可能となり、リカバリーを施したが、バックアップを取っていなかったため、大半のデータが飛んだ。

経過:どのように失敗が進行したのか、ポイントになる部分をできるだけ詳しく書く。
8月5日未明、パソコンを立ち上げるもwindows7が立ち上がらず。デルサポに連絡し、ブルースクリーンからの回復方法、静電気の除去方法、セーフモードでの立ち上げを試すが、結局、エラーが起き状況は回復せず。デルサポのサポート内容を信じられなかったこともあり、旧PCを使いネットで調べるが、有効な解決方法もなし。最悪、再インストールになっても、データだけ抜き出せればと思ったが、OSを立ち上げられないので無理だった。再度デルサポに連絡し、データを抜き出せる会社を紹介してもらうが、フルバックアップで50万、フォルダ指定で10数万と言われ、諦める。
デルサポが教えてくれなかったDell Local data back upというプリインストールされたソフトを使い、データの吸い出しを試みる。しかし、初めて使うソフトであったため、肝心の仕事データの吸い出しが出来ないまま、リカバリー。各方面からデータを回収できたおかげで、実質的な被害は、入稿間近のカタログデータと、会社のビジネスキット類、再インストールにかかる時間のみであった。

原因(推定)その時点でどう感じたか、考えたかという当事者の見解。
実は、最大の失敗が起こる前に、失敗の予兆が2つ程あった。
①ダウンロードしたクラックソフトが、新手の不正プログラムだった。症状としては、ネット検索をおこなうと、行きたいページに行けず、バイアグラや、ネットテレビなど意図しないページに飛ばされる。
セキュリティ会社に相談し、様々な対処策を施すも、新種のためで対処不可能だった。かといって、PCを使えないほどではなかったので、セキュリティ会社がリカバリを勧めても、面倒臭くてやらなかった。
憶測ではあるが、不正プログラムのせいで、windows7のシステムが狂ったのではないかと思う。

②スリープモードにすると勝手に電源が切れる症状が2日間程起こるが、PCの立ち上げ、動作に支障は無かったので、ほっておいた。そして、突然、立ち上げ不可能状態となった。

購入して1年も経っていなかったので、「まだ壊れる訳がないだろう」という慢心で、定期的なバックアップは取っていなかった。DELLのカスタマーサポートに連絡するが、話が通じず。紹介してもらったデータ復元業者は作業量が高く、結局は自分で調べて緊急バックアップをすることに。このような事態を想定していなかったため、初めて使う緊急バックアップソフトも使い慣れず、肝心の仕事データの入ったフォルダをバックアップするチェックミス。更に、ソフトはプレミアムにしないと、復元が出来ないと勘違いし、プレミアム版にアップグレード。無事に、キャンセルしたものの、時間を浪費した。また、デルサポの日本語非対応で、時間を超浪費した。

対処:失敗に際して、どんなことをしたか。場合によっては、失敗以前の対処の記述も必要。
PCにプリインストールされているソフトでデータの吸い出しを行ったが、使い方に慣れず、必要なデータを吸いだせなかった。その後、メールに添付したデータや、クライアントよりデータを回収し、実質的な被害は少ない方だと思うが、完全復旧までに2日間要したことをふまえると、締切間近で起こっていたら、完全にアウトだった。

総括:全体を総括して真相をあぶり出し、記録として残すべきこと。
今回のデータ抹消という大きな失敗は、4つの失敗が重なりおこったものである。
①平常時に、バックアップを怠っていたこと。
②ウィルス感染を甘く見てバックアップを怠ったこと。
③電源が切れるアクシデントの深刻さを理解していなかったこと。
④データ吸い出しソフトに不慣れなため、人為的なミスで、データのバックアップが出来なかったこと。
もし、この一つでも回避できていたら、締切稿前のデータを最初から作り直さなくて良かったと思う。

知識化:失敗経験から学んだ教訓や知恵。同種の失敗の再発防止にならなくてはならない。
まずは、データのバックアップを安全・定期的におこなうことが大事。忙しいとついつい忘れがちになるので、自動でおこなうシステムがあれば、ベター。バックアップする際も、壊れる可能性のあるハードディスクだけではなく、期限がなくデータを保存しておくことができるfilestorageなどの簡易サーバーも使用しようと思う。
メインのクライアントにはご迷惑をかけたが、1仕事ごとにデータをCDで郵送していたので、ほぼ全ての提出データを回収できた。また、少量だが、Gmailの送信済みからも、データを回収できた。
言うまでもないが、クラックは使用しない方が良い。今回のやつは、新種だったようでウィルスチェックでも検出できなかった。最低でも試すときは、リカバリ可能な予備PCで行う方がベター。

現在、最大30ギガまで無料で、指定ドライブを自動同期してくれるNAVER Ndrive、というオンラインデータストレージを試験的に使用中。これは、簡単に言うと、Drop Box(通常2ギガ無料)の大容量版のような感じ。転送できるファイルの種類も問わず、転送速度は遅くないが、ドライブ内にデータを入れたまま使うと、動作が遅くなる。なので、必要なデータのみ取り出して使い、また戻すようにして使用中。



いつもながら、長くなりましたが、失敗を知識化する方法を少しでもお分かり頂けたでしょうか?
日本では、失敗には触れない、もしくは、失敗した者を吊るしあげるような風潮があり、失敗から真に学ぶ機会は少ないような気がします。(こう書くと、某首相の数々の失敗を擁護するようで気持ち悪いですが。)要は、「失敗」を「成長」へと繋げるシステム作りが必要なんだと思います。

例えば、ある企業では、社長賞などとともに、あえて失敗した社員を表彰する「大失敗賞」があるらしいです。この仕組みが素晴らしいのは、失敗を社員で共有し、また失敗した社員の奮起を促すところ。
また、アメリカの司法取引制度では、免責を保証し、原因究明をしっかりおこなうそうです。
(その割には、何度も銃乱射事件という「失敗」が起こっているように思えますが・・・)

組織のリーダーとなる人は、部下を安心させるために失敗してないフリをしなければならないことはあるでしょうが、「失敗」した時にこそ、素直に認める謙虚さが必要なのではないでしょうか?そして、「失敗」してもそれを「成長」に繋げる姿勢を自らとり、部下も追従出来るシステムを作るべきだと思うのです。日本のトップである、政府が「失敗」を活かせていない時点で何とも言えないのも事実ですが、まずは自ら実践してみようと思います。
 


この世には、3通りの人間しかいないんです。

「失敗から学ぶ者」
「失敗から学ばない者」
「失敗する度胸すらない者」

あなたは、どれですか?
ざわざわ・・・



おしまい。